こういう人間です
盛岡市在住。ライター。
性格偏屈。趣味はないが嫌いなものはない。 20年余りの都会暮らし、 10年余りの山暮らしを 経て現在6年目のニュー タウン暮らし。 いまいるところがいつも いちばん好きなところ。 メールはこちらへどうぞ 以前の記事
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山に登り始めて最初に泊まった山小屋は奥多摩の七ツ石だった。 これもまったくいきさつ不明で、たしかいつも大酒を飲んでいる友人と 「たまには山でも登るか」という話になって、「そうだ、酒ばかり飲んでても しょうがない」と決まった。で、生まれてはじめて登った山が2月の雲取山だった。 当時のぼくはまったくもって独身貴族で、仕事は忙しいけど遊ぶヒマがない。 だからカネなら唸るほどあって(笑)、さっそく山道具屋に出かけて登山用具一式 買い求めた。ただしテントだけはまだ買わなかった。そういう発想がなかったのだ。 2月の雲取山は素晴らしかった。 ぼくは苺をワンパック持っていき、さらにはその苺を盛り付けるガラスの器まで 買い込んで、コンデンスミルクも買い込んで、雲取山の頂上で雪に苺を乗せて ミルクをかけて食べた。ああいうバカげたことが楽しかったのだから、 それ以降の山もすべて遊興の世界だったと思っているが、のめりこんでしまうと そういう他愛のないことはあまりやらなくなったがやっぱりどこかで楽しみつくす 山という考えがずっと残っていた。 七ツ石小屋のおじいちゃんは面白い人で、薪ストーブにお釜を載せてコメを炊いていた のだけれど、そのわきにぼくらが鍋を載せて蓋を開けるたびに「5分遅くなる」と 笑っていた。早く食べたいからせっかちなぼくらがしょっちゅう、鍋の蓋を開けた みたいだった。登山者はほかにいなくて、ぼくと友人とおじいちゃんで話し込んで お酒もたっぷり飲んでその夜は小屋の布団でぐっすり眠った。 翌朝、おじいちゃんはストーブで沸かしたお湯でお茶をつくってくれた。 ひと口飲んで、?と思った。おじいちゃんはニコニコしながら、 「何のお茶だかわかるか」と訊いてきた。「山小屋のまわりにいくらでもあるよ」と いうのだが、ぼくにはさっぱり見当がつかなくて降参したら「熊笹だよ」と言われた。 ぼくらはガクっときて飯ごうでご飯を炊いて納豆飯をつくってかき込んで雲取山に 登った。あのおじいちゃんとはその数年後も一度泊まりにいって話したがちゃんと 覚えていてくれたなあ。 で、岩手山に戻ろう(笑) 先に着いた次男は平笠小屋の前でポツンと待っていた。その姿が寂しそうにも 見えたので「ああ、悪いことしたな」と思ったがじつは腹が減っていただけだった。 8個のおにぎりも2本残っているソーセージも飴もお茶もすべて、 ぼくのザックに入っていたからだ。 平笠小屋はこじんまりしていて、屏風尾根から延びる岩山と頂上の鞍部にあるせいか 風も当たらなくてとてもいい感じだった。 管理人はいないし水場もないが、トイレはきれいだったし室内も片付いていたから ちゃんと管理している人がいるのだろう。室内は10畳ほど広さだが階段があって ロフトがついていてシュラフ持参で泊まるには快適そうな小屋だった。 次男と小屋の前の空き地に座り込んでまず腹ごしらえした。 パクパクとおにぎりを食べてお茶を飲んでソーセージを食べると、 「昼前なんだから頂上に登ろう」という気になってしまう。 頂上はガスのなかだがときおり風で流れて稜線が見える。 まだずいぶん高いのだが、次男の足ならたちまち駆け上るだろうしこっちはヨタヨタと ついていけばいい。二人で六つおにぎりを食べ、残りのソーセージも食べて、 11時40分に歩き出した。 岩手山は正面のコースから登ると大きな山小屋があって、そこから少し歩くと お鉢の裾につくからほんとうにひと登りで稜線に出るししかも周囲の見通しが利く。 ところが平笠小屋からだと霧に包まれていたせいもあるが、岩手山が視界を塞ぎ 過ぎるのだ。あの高みが頂上だとわかっていても、ただのコブだったらどうしようか とか余計なことを考えるのは疲れていたからだろうなあ。 でも黙々と登った。途中でだんだん調子が出てきた。 ジグザグに切られた登山道は正面コースほど砂が深くなくて歩きやすいし、 またコマクサが出てきたからだ。さっき見た群落より数は少ないが、 花にまだ勢いがあってきれいだ。 このコース、ときおり降りてくる人はいるがあまり登山者はいない。 でもしばらく登って上を見たら、稜線を横切っていくだけの人がいる。 ああ、やっぱり頂上間近だなと思ったら先に登っていった次男が「出たよ」と叫んだ。 追いついたらそこがお鉢めぐりの稜線で、頂上はほんの目の前にあった。 左端がおにぎり4個食べて元気な次男。 もう登頂間近だ(笑)
by northend
| 2009-08-15 22:06
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