こういう人間です
盛岡市在住。ライター。
性格偏屈。趣味はないが嫌いなものはない。 20年余りの都会暮らし、 10年余りの山暮らしを 経て現在6年目のニュー タウン暮らし。 いまいるところがいつも いちばん好きなところ。 メールはこちらへどうぞ 以前の記事
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山小屋に帰ったら隣家のSさんから「いい日に来たな」と言われた。 すっかり忘れていた。 12月12日は山ノ神の日。 山仕事の人たちはこの日はお休み。 一年の無事を感謝してふだん使いの道具を奉り、 神棚に御神酒を上げて近所同士集まって飲む。 こういう日に仕事をすると白い目で見られる。 さっそくぼくも隣家に顔を出してばっちゃんの料理を久しぶりに楽しんだ。 ウドやフキの煮物、カボチャ、カブやタクワン、そういうので一杯飲む。 2時間ほどで切り上げて、 酔い覚ましに薪割りがしたくなった。 裏山に先月倒したハタンキョウの木が玉切りのまま転がっている。 邪魔だし、間もなく雪に埋もれてしまうだろう。 いま割って積んでおけば来年はいい薪になりそうだった。 3年ぶりの薪割りだな。 山暮らしのころは春と秋、夕方になると薪をつくっていた。 チェーンソーで材を玉切りするのはやかましくて嫌いだったが、 その次の薪割りは大好きだった。 斧一本あればいつでもできる。 気が向いたら半日でもできるし、飽きたら30分でやめてもいい。 薪はどんどん積み上がり、壁の一つの面を埋め尽くすと嬉しくなる。 積み方にもコツがあって、太さも割れ口もさまざまな薪を あれこれ考えながら積んでいく。これはデザインと同じで 凝り出すとキリがない。 本格的な雪が来る前にすべての壁や積み場所にきれいに薪が収まると、 それだけで山小屋が暖かそうに見えてしまうから不思議だ。 裏山のハタンキョウは斜面にそのまま転がしてある。 たった一本の木だもの、その場で割って一輪車で運ぶことにする。 ふかふかの地面にグラグラする台木を置いて、 その上に玉切りのハタンキョウを置いてみる。 なんだか全体が傾いて倒れそうだ。 しかも節くれだってねじれたハタンキョウ。 はて。 これを昔のように真っ二つにできるのだろうか。 10年余りも自分の家の暖房はすべて自力でまかなってきた。 薪を割れないというのは冬を越せないということで、 必死になればイヤでも体で覚えてしまうものがある。 たとえば直径が数十センチもあるナラやブナをどう割るか。 1メートルあったって答は同じで、 樹木の結束力を断ち切ればいい。 うんと太い木は、外側から削ぐように割っていく。 すると木が緩む。 緩んでしまえば真っ二つにできる。 その真っ二つにすることでも、 年輪の目の真ん中に斧を振り下ろすのではなく、 縦に割れ目を作るつもりで向こう側と手前に斧を当て、 最後は気合いを入れて真ん中に振り下ろす。 すると小気味のいい音をさせて太い木がパカッと割れる。 とか、あれこれ思い出しながら、エイ! まあなあ、 これぐらいの太さを一振りで真っ二つにできないでどうするんだ。 ああ、良かった。クスクス。 残っていたハタンキョウも割ってしまう。 やっているうちにだんだん勘が戻ってくる。 もっと割りたいけど、太い材はたちまちなくなった。 ハタンキョウはスモモの仲間。 暗紫の枇杷くらいの大きさの実をつけた。 甘酸っぱくて美味しいが、割った薪も瑞々しくて香ばしかった。 でも、今日の薪割りはこれでおしまい。 山ノ神の日に、斧を使ってはいけないんだった。
by northend
| 2006-12-14 21:36
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