こういう人間です
盛岡市在住。ライター。
性格偏屈。趣味はないが嫌いなものはない。 20年余りの都会暮らし、 10年余りの山暮らしを 経て現在6年目のニュー タウン暮らし。 いまいるところがいつも いちばん好きなところ。 メールはこちらへどうぞ 以前の記事
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晩ご飯を食べてニュースを観ていたら電話が鳴った。 上の子が出る。 「あー、お久しぶりです」とか声が聞こえた。 それからずいぶん話し込んでいた。 といっても、先方がもっぱら話しかけ、上の子は「はい」とか「やってます」とか 返事をし、「卒業式は明日です」とか「うん、楽しい」とか短く話すだけ。 はて、どっちかのおじいちゃん、おばあちゃんかな。 それともぼくかかみさんの友人かな。 それなら最後に「お父さん(お母さん)に替わってくれ」と言われるだろうから 放っておいたら、上の子が話しただけで終わってしまった。 「ジャーン。誰からだと思う?」 「おじいちゃんとかおばあちゃんじゃないな」 「お父さんの友だちでもないよ」 「でも知ってる人だろう」 「うん、よく知っている」 一人だけ、名前が浮かんできた。 「おい、ヒント一つだけ言え。遠くの人か、近くの人か」 「近くないけど、県内だ」 「わかった」 「誰だ?」 「N先生!」 「ピンポーン」 N先生は上の子が1年生、2年生の2年間、担任だった。 山の小さな小学校で、全校生徒はたった6人。同級生が1人。 複々式というのかな、1,2年生3人が机を並べて授業を受けた。 これはクラスとか担任ではなく、友だちよりもっと親密な、まるで家族のような 雰囲気になってくる。 けれどもN先生は、上の子に勉強の楽しさをしっかりと教えてくれた。 読み書き、計算。自然観察、読書、作文、絵や音楽、スポーツ、 それから思いやりとか、努力の大切さとか、 ぼくにはできっこないことをすべて教えてくれた。 上の子は学校から帰ると晩ご飯の前に、それが当たり前のように大きな声で 音読し、計算問題を解き、ノートをつくった。 それは宿題でもあったが、家できちんと勉強してくると次の日の学校は とても楽しいよと子どもにわからせてくれた。 だから上の子は、キラキラと目を輝かせて毎日、大きな声で音読してくれた。 N先生は離任式のとき、晴れ晴れとした顔で短く挨拶してくださった。 「夢のような2年間でした。こんな幸せな教員生活を送れたこと、子どもたちに 感謝したいです」 きれいごとだけを書くつもりはない。 短い期間の中に、いろいろなことがあった。 けれどもN先生は、いつも真っ先に動いて真剣に取り組んでくれた。 そのことも含めて、ぼくもかみさんもN先生には本当に感謝している。 初めての学校で初めて受け持ってもらった先生。 それがN先生だったことにぼくらは心から感謝している。 今日、電話くれたのは、中学の入学式に祝電を打とうと思ったけど、 それより直接、上の子に「おめでとう」を言いたくなったからだという。 それを聞いて、少し胸が詰まった。 明日は卒業式。 上の子はきっと、自分の背中を押してくれたN先生の笑顔を思い出すだろう。 N先生。6年間、ありがとうございました。
by northend
| 2007-03-19 22:12
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