こういう人間です
盛岡市在住。ライター。
性格偏屈。趣味はないが嫌いなものはない。 20年余りの都会暮らし、 10年余りの山暮らしを 経て現在6年目のニュー タウン暮らし。 いまいるところがいつも いちばん好きなところ。 メールはこちらへどうぞ 以前の記事
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山の家に二晩泊まって昼に町に戻る。 二晩は久しぶりで、二日目の朝がのんびりできるのは嬉しい。 といっても二泊三日、やれやれと動き回った。 帰ればまず家中の掃除。よく晴れて風もないから窓を全部開け放ち、 押し入れも開放してありったけの布団や毛布を干した。 干しきれないものは陽の当たる部屋の中に広げる。 暮らしていればなんのことはないが、別荘にしてしまうと布団は湿る。 とくに綿布団はずしりと重くなるから二日間、干した。 水周りを任せているガス屋さんにも来てもらってボイラーその他の点検。 これで初日がつぶれたが、明るいうちに風呂に入ってのんびりできた。 夜は毎晩、ラジオを聴く。 登山靴で踏みつけても壊れないという雑誌広告で買ったミリバールという 短波専門の電池ラジオ。これは重宝して山によく持ち込んだ。 気象情報を聞きながら天気図を描いたこともあったんだ。 このラジオ、ふつうの放送も入ってNHKなら聴ける。山は電波が弱く不安定 なのだけど、どういうわけかこのラジオはよく聴けてアンテナつきのでかい CDラジカセより音がいい。ただしニュースや天気予報は北海道のことばかり になってしまう。北海道のNHKらしい。 そのラジオを聴きながらストーブのそばでウイスキーをチビチビ飲み、 樹木図鑑を眺めて二晩過ごした。よくできた図鑑というのは、一項目がすべての 枝葉を削ぎ落として幹だけにした短編の世界で、ふと吸い込まれ、ふと戻り、 自分の空想や思い出につかまったり逃れたり、どこまでもくつろげて好きだ。 最初の夜にNHKの山本晋也さんがホスト、山本学さんがゲストという番組を 聴いた。「人生に乾杯」とかいうタイトルだったのかな。 山の家の薪ストーブのそばでウイスキーを飲みながら聴くラジオというのは、 テレビやパソコンより温かくてしっくりくる。つまらないと図鑑に入り込み、 薪をくべて暖かさ戻し、ウイスキーを飲む時間というのは静かで何ひとつ 邪魔なものがないんだ。 その晋也さんの番組が面白かった。 昔からぼくはこの人が好きで、トゥナイトという番組だったか、 レポーターで毎晩出ていて「ほとんどビョーキ」と最後は笑いのめすのだが 根が優しい人でそれから映画の話になればすごかった。 そういう人のゲストに雰囲気としてはまったく正反対の山本学さんを呼んで トーク番組が始まったので思わず聴きこんでしまった。 山本学さんでぼくの世代がまず思い出すのは『白い巨塔』の里見先生ね。 あれこれ頭が混乱してきて山本圭さんが「キミのゆく道は」のほうか。 佐藤オリエ、うーん、脈絡なく書いているからウソが多いかなあ、 そんなことは気にしないでともかく山本学さんの話。 田宮二郎が演じた財前五郎は凄みがあったが、それと対立する里見先生役の 山本学さんはいわば善玉、医師の良心をこの人がすべて引き受けていた。 撮影に入って間もなく、財前・里見のセリフのやり取りがあるシーンで、 山本学さんは「ごめんなさい」をやったという。セリフをとちったときに 役者が自分から謝って撮ったぶんを没にするときのセリフだが、 学さんはとちったわけではなくて、あまりにテンションが高くなったので これからの長丁場、とても演技ができないと感じたのだそうだ。 まだドラマの撮影は始まったばかりで、「わたしにはつらかった」と話す。 田宮二郎は腑に落ちない。それで監督交えて話し合ったらしいが、 当時、すでに田宮二郎は躁ウツ症だからテンションの高さは気にならない。 それでもとにかく撮り直し、山本学さんは自分の演技に持ち込めたという。 山本晋也さんは聞き上手だから学さんはほかにも楽しい、というか意外な エピソードをたっぷり紹介してくれて1時間の番組がほんとうに面白かった。 それで、近ごろさっぱり学さんを見ないと思ったら森光子の『放浪記』の 舞台が延々、終わらないからそればかり(笑)そうだったのか。 学さんが番組の最後で「わが人生」についてこんなこと言ってた。 「ご飯を食べたらすぐに茶碗を洗う。いまできることをきちんとする。 それだけですよ」 山の家で一人暮らしするときに、ぼくが守るっているのもそういうことかな。
by northend
| 2008-11-15 22:20
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